第33章

昨夜の楽しい時間のせいか、翌日の樋口浅子は笑顔を絶やさず出勤していた。

ギャラリー内で鼻歌を歌いながら掃除をしていると、振り向いた先に西原貴志の姿があった。

「西原貴志?どうしてここに!」樋口浅子は少し驚きながらも、手元の最後の片付けを済ませ、西原貴志を休憩スペースへ案内した。

「どうした、僕が来たのは迷惑か?」西原貴志は優しく微笑み、手に持っていた花束を脇に置いた。

「もう、いつも冗談ばかり。あなたが来て迷惑なわけないじゃない」樋口浅子は嬉しそうに言った。

彼女は花束を整理して脇に置き、お茶を淹れて休憩テーブルに運んだ。

「最近どう?足の傷は順調に治ってる?」西原貴志はまず気が...

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